「スマホの遠隔操作」と聞くと、スマホ乗っ取りなどの悪いイメージを抱く方も多いかもしれません。
実は、スマホの遠隔操作はスマホをなくした時や、使い方を説明したいときなどにとても便利な機能です。
この記事では、スマホの遠隔操作でできることや、遠隔操作をする具体的な方法を解説します。
また、遠隔操作の悪用による被害を防ぐためにできる対策についても紹介します。
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スマホの遠隔操作でできること
スマホの「遠隔操作アプリ」を使えば、PCやスマホ、タブレットなど他の端末からスマホを操作することが可能です。
「遠隔操作アプリ」では、おもに以下のような機能が利用できます。
端末の位置を特定する
GPS機能を使って、スマホの大まかな位置を特定できます。
これは、スマホをどこかに置き忘れてしまった…という場合に便利な機能です。
また、家族を「ファミリーメンバー」として登録すれば、スマホの位置情報から家族が今どこにいるかを知ることもできます。
端末にロックをかける
スマホを紛失してしまった場合、遠隔操作でスマホをロックして、第三者が操作できないようにすることができます。
端末の着信音(サウンド)を鳴らす
スマホがどこにあるか分からないとき、遠隔操作でスマホのサウンドを再生すれば、すぐに見つけられます。
この機能は、マナーモードに設定している場合でも利用可能です。
端末のデータを削除/工場出荷時の状態にリセットする
スマホを紛失してしまった場合、遠隔操作で端末のデータを削除(端末を消去)すれば、第三者にデータを見られたり、盗まれたりしないで済みます。
端末を消去すると、スマホ内のデータや設定がすべて消去され、工場出荷時の状態にリセットされます。
バックアップをとっていないと、元の状態に戻せないので注意してください。
端末にカスタムメッセージを表示させる
iPhoneでは、「紛失モード」を使って画面に以下の情報を表示できます。
・紛失中であること
・iPhoneを見つけた人へのメッセージと連絡のための電話番号
Androidではこの機能は使えないため、ロック画面にカスタムメッセージを表示しておくとよいかもしれません。
Android端末のロック画面に表示するメッセージは「設定→ディスプレイ→ロック画面→ロック画面にテキストを追加」などの項目で設定可能です。
カメラを操作する
スマホのカメラを遠隔操作して、カメラのシャッターを押す、または防犯カメラ・見まもりカメラとして使うこともできます。
遠隔でシャッターを押すには、Apple Watchなどのスマートウォッチや音声アシスタント機能、またはBluetoothなどで接続できる「遠隔シャッター」を使いましょう。
また、「監視カメラアプリ」を使えば、iPhoneやAndroid端末が防犯カメラ・見まもりカメラ代わりになります。
スマホを遠隔操作する方法
スマホを遠隔操作する具体的なツールと方法を紹介します。
「デバイスを探す(Androidデバイスマネージャー)」を使う
Android端末を紛失した場合、「デバイスを探す」アプリを使って遠隔操作ができます。
「デバイスを探す」でAndroid端末を探すには、その端末の設定→Google→「デバイスを探す」をONにしておいてください。
PCから遠隔操作する場合は、デバイスを探すにアクセスします。
「デバイスを探す」では、以下の機能が利用できます。
・音を鳴らす:着信音を5分間鳴らす(マナーモードでも利用可)
・デバイスを保護:スマホをロックし、Googleアカウントからログアウトする
・デバイスデータを消去:スマホのデータを完全に消去する
スマホのデータを完全に消去すると、その後スマホの位置を特定できなくなるので注意してください。
他のAndroidスマホから操作したい場合は、デバイスを探すアプリを使いましょう。使い方はPC版と同じです。
「iPhoneを探す」を使う
iPhoneを紛失した場合は、「iPhoneを探す」アプリを使ってiPhoneを遠隔操作できます。
「iPhoneを探す」でAndroid端末を探すには、そのiPhoneの設定→Apple ID→「iPhoneを探す」をONにしておいてください。
PCから遠隔操作する場合は、デバイスを探す(iCloud.com)にApple IDでログインします。
デバイスを探す(iCloud.com)では、以下のような機能が利用できます。
・iPhoneでサウンドを再生する
・紛失としてマーク
・デバイスを消去:iPhoneのデータを完全に消去する
「紛失としてマーク」を有効にすると、iPhoneをロック(アクティベーションロック)して他の人が使えないようにしたり、画面上に連絡先を表示したりできます。
他のiPhoneやiPadなどから遠隔操作する場合は、探すアプリを利用してください。
「AnyDesk」を使う
AnyDeskは、PCを使ってAndroid端末を遠隔操作できるアプリです。
AnyDeskを使うには、まず遠隔操作したいAndroid端末にAnyDeskリモートデスクトップソフトウェアとプラグインをインストールしてください。
次に、PCにAnyDeskをインストールします。
インストールが完了したら、PC上のAnyDeskを開き、Android上のAnyDeskアプリに表示されたアドレスを入力してください。
AndroidのAnyDeskアプリで承認→キャストを開始すると、PCとAndroidの接続完了です。
Androidの画面がPC上に投影(ミラーリング)されて、マウスのクリック、ドラッグでスマホが操作できるようになります。
「TeamViewer」を使う
TeamViewerでも、PCからAndroidを遠隔操作できます。
TeamViewerを使うには、Android端末にTeamViewer QuickSupportとTeamViewer Universal Add-onをインストールしてください。
次に、PCにTeamViewerをインストールします。
インストールが完了したら、PC上のAnyDeskを開き、Android上のTeamViewerアプリに表示されたID絵を入力してください。
AndroidのTeamViewerアプリで許可→キャストを開始すると、PCとAndroidの接続完了です。
Androidの画面がPC上に投影(ミラーリング)されて、マウスのクリック、ドラッグでスマホが操作できるようになります。
また、Android端末からAndroid端末を遠隔操作することもできます。
この場合、操作する側ではTeamViewerでリモートコントロール、操作される側ではTeamViewer Quicksupportを使ってください。
iPhone版でできること
TeamViewerはiOS向けにもアプリを提供していますが、使える機能は以下のようになっています。
・TeamViewerでリモートコントロール:iPhoneからPCを遠隔操作する
・TeamViewer QuickSupport:iPhoneの画面をPCなどに共有する
他の端末からiPhoneを遠隔操作することはできないので注意してください。
「AirDroid」を使う
AirDroid(エアドロイド)アプリを使ってPCからAndroid端末を遠隔操作することもできます。
詳しい方法については、AirDroidパーソナルコンピュータからAndroidデバイスを遠隔操作する方法は?(AirDroid公式)をご覧ください。
「Anti-Theft」を使う
Anti-Theft(アンチセフト)は、Android端末向けのセキュリティアプリ「ESET Mobile Security Antivirus」で利用できる機能です。
ESET Mobile Security for Androidをインストールしておけば、スマホを紛失したときに位置情報の確認、端末のロック、写真の撮影などができます。
遠隔操作でスマホが悪用されていないかを確認する方法
ここまで、スマホを良い目的で遠隔操作する方法について紹介しました。
でも、遠隔操作機能を悪用すれば、以下のようなことも可能になってしまいます。
・位置情報を盗み見る
・カメラやマイクを使って盗撮、盗聴する
・スマホ内のデータを盗み見る
・勝手に商品やサービスを注文する
・データを勝手に消去する
スマホが勝手に遠隔操作されているのでは?と心配な場合は、以下の方法で確認してみてください。
セキュリティアプリでチェックする
Android端末では、セキュリティアプリを使ってスキャンすることで、遠隔操作のために使われているアプリを発見できる場合があります。
また、遠隔操作によってAndroid端末がウイルスに感染している場合も、セキュリティアプリによるスキャンで確認できます。
Android向けのセキュリティアプリには以下のようなものがあります。
ダウンロードした覚えのないアプリがないかを確認する
スマホにダウンロードした覚えのないアプリがある場合、悪意を持った第三者によりインストールされた遠隔操作アプリの可能性があります。
設定→アプリなどの項目から、そのアプリにどんな権限が付与されているかを確認してみましょう。
「位置情報」、「カメラ」、「マイク」、「ファイルとメディア」など、許可した覚えがないのに様々な権限が付与されているようなら要注意です。
そのアプリを利用して、スマホのデータを盗み見たり、盗撮や盗聴が行なわれている可能性があるため、すぐに削除することをおすすめします。
アクセス履歴やインストール履歴を確認する
GoogleアカウントやSNSアカウントへのログインなど、身に覚えのない不正なアクセス履歴がないかどうか確認してみましょう。
例えばGoogleアカウントの場合、セキュリティのページで自分のGoogleアカウントにログインしている端末を確認できます。
身に覚えのない日時のアクセスや、知らない端末からのアクセスがあるなら、遠隔操作によってパスワードやIDが盗み取られている可能性があります。
すぐにパスワードを変更して、アカウントを保護することをおすすめします。
あわせて、アプリのインストール履歴も確認してください。確認方法は以下の通りです。
・Google Play ストアアプリを開く
・Googleアカウント(右上のアイコン)→「アプリとデバイスの管理」をタップ
・「管理」のタブから、インストール済みまたは未インストール(削除済み)のアプリを確認
・App Storeアプリを開く
・アカウント(右上のアイコン)→「自分の名前」をタップ
・「購入履歴」をタップ
アプリの購入・インストール履歴にまったく身に覚えのないものがある場合は注意が必要です。
脱獄(ジェイルブレイク)の可能性がないか確認する(iPhone)
iPhoneは強固なセキュリティ対策によって守られており、不正なアプリはインストールできません。
ただし、脱獄(ジェイルブレイク)と言われる不正改造をすると、セキュリティ対策が無効になり、遠隔操作やウイルスに対して無防備になってしまいます。
自分で脱獄をしたことがなくても、以下のようなケースに該当する場合は要注意です。
・中古のiPhoneを個人売買で購入した
・iPhoneを他人から譲り受けた
・他人にiPhoneを貸したことがある
・iPhoneを落とし、一時的に他人の手に渡ったことがある
遠隔操作が疑われるなら、新たにスマホを購入し、IDやパスワードをすべて変更したほうがよいでしょう。
スマホが遠隔操作されないための防止策
スマホが第三者によって遠隔操作されないために、以下の点に注意してください。
GoogleアカウントやApple IDのログイン情報は人に教えない
GoogleアカウントやApple IDなど、Webサービスのログイン情報は、家の「カギ」のような働きをするものです。
ID/パスワードは大切に保管し、人に教えないようにしてください。
端末のパスワードを設定し、人に気軽に貸さない
スマホを勝手に使われないために、必ず端末のパスワード(画面ロック)を設定しましょう。
設定方法は以下の通りです。
・Android:設定→セキュリティ→「画面ロック」(または顔・指紋認証)などの項目で設定
・iPhone:設定→「Face IDとパスコード」で設定
また、スマホを不用意に他人に貸すと、データを盗み取られたり、アプリをインストールされたりする可能性があります。
スマホは基本的に他人に貸さないようにしてください。
不正なアプリをダウンロードしない
公式アプリストア以外でアプリをダウンロードすると、ウイルス感染の危険性があります。
アプリは必ず公式アプリストアからダウンロードするようにしてください。
・Google Play ストア
・App Store
公式アプリストアで販売されているアプリは、AppleとGoogleによって安全性が確認されています。
ただし、Google Play ストアを利用する場合は、「Google Playプロテクト」が有効になっているかどうか確認しましょう。
Google Play プロテクトとは、Androidスマホに搭載されているセキュリティシステムで、アプリをインストールする際に問題がないかをチェックしてくれます。
Google Play プロテクトの確認方法は以下の通りです。
・「Google Play ストア」アプリを開く
・Googleアカウントを開く(右上のアイコン)
・「Play プロテクト」をタップ
・設定(右上の歯車アイコン)をタップ
・「Play プロテクトによるアプリのスキャン」がONになっているかチェック
怪しいリンクやWebサイトを閲覧しない
金融機関や配送業者などを名乗る不審なメールやSMSに記載されているリンクは絶対にタップしないようにしてください。
個人情報を盗もうとするサイトや、ウイルスが埋め込まれたサイトに誘導される危険があるためです。
また、以下のようなWebサイトはウイルス感染のリスクがあるため、閲覧しないようにしましょう。
・ウイルスに感染しました!などの偽の警告(フェイクアラート)が表示される
・頻繁にポップアップ画面が表示される
・Safari(iPhoneのWebブラウザアプリ)のURL欄に「安全ではありません」と表示される
・Chrome(AndroidのWebブラウザアプリ)に「このサイトは正しいですか?」などの警告が表示される
街なかの無料Wi-Fiスポットに気軽にアクセスしない
街なかの無料Wi-Fiスポットは便利ですが、個人情報の流出などのリスクもあります。
できるだけ安全に利用するために、Wi-Fiに接続する際は、Wi-Fi名(SSID名)に錠前マークがついているかどうかを確認してください。
錠前マークの有無は、以下の画面で確認できます。
・Android:設定→ネットワークとインターネット→Wi-Fi
・iPhone:設定→Wi-Fi
錠前マークのついていないWi-Fiは、暗号化されておらずセキュリティが低いため、接続しないようにしましょう。
より安全に無料Wi-Fiスポットを利用するために、「VPN」を利用するのがおすすめです。
VPNとはVirtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)のことで、暗号化された「トンネル」の中で通信をすることにより、安全にインターネットが利用できます。
「NordVPN(ノードVPN)」は、安全かつ高速な通信ができるおすすめのVPNサービスです。
470円(税込)/月(2年プランの場合)の有料サービスとなりますが、「30日間返金保証」があるので、まずは試してみるのはいかがでしょうか。
【番外編】スマホの遠隔操作はこんな時に役に立つ!
スマホの遠隔操作は悪用される危険もあるとはいえ、基本的にとても便利な機能です。
ここでは、スマホの遠隔操作が役立つ具体的な場面を紹介します。
親からスマホ関連の相談を受けた時に遠隔操作で説明できる
遠方に住んでいる親からスマホ関連の相談を受けた際、口で説明してもなかなか伝わらずに苦労した、という経験はありませんか?
そんなとき役立つのが、AnyDeskやTeamViewerなどのスマホの遠隔操作・画面共有アプリです。
PCの画面にスマホの画面を投影して、マウスでスマホを操作できるので、実際にスマホを操作しながら使い方を説明できます。
AnyDeskやTeamViewerでスマホを遠隔操作するには、事前にアプリをダウンロードして初期設定が必要です。
親からよくスマホについて聞かれることがあるなら、次回直接会ったときに、親のスマホに遠隔操作アプリをインストールしておくとよいかもしれませんね。
まとめ
スマホの遠隔操作は、以下のような場合にとても便利な機能です。
・スマホを紛失した時に、端末の位置を特定/サウンドを鳴らす
・スマホを紛失した時に、端末をロックして他人が使えないようにする
・スマホを紛失した時に、端末を初期状態に戻し、データを守る
・遠隔でスマホの使い方を教える
Androidを紛失した時はデバイスを探す、iPhoneならデバイスを探す(iCloud.com)を使いましょう。
スマホの遠隔操作機能を悪用されないために、以下の点に注意してください。
・端末のパスワードを設定し、人に気軽に貸さない
・不正なアプリをダウンロードしない
・怪しいリンクやWebサイトを閲覧しない
・街なかの無料Wi-Fiスポットに気軽にアクセスしない